年頭にあたって

2018年5月8日

今年もよろしくお願いいたします。
年の初めから、夏の参議院選挙が取り沙汰されていますが、今年の政治の話題は、衆参で政権交代が実現されるか否かということでしょうか。昨年、政権交代が実現した後、事業仕分けなどによる国の政策議論が公開され、政策決定過程がオープンになったことは、私たち市民にとって大きな成果だったと思います。急激な変化を求めることより、じっくりと政治状況を確認することが、まずは大切だと感じています。
 江戸川ネットは、1月24日(日)に「新春区政報告会」を開催し、今年の活動をみなさんと共有していきたいと考えています。今年のテーマは「子ども支援」という内容で地域の仲間でもある「こどもおんぶず」と「子ども劇場」の活動を紹介していただき、江戸川ネットとして、政策として掲げる「子どもの権利」「子どもの人権」について話し合う機会にしたいと思います。
 
 昨年暮れに、「フィンランド豊かさのメソッド」という本を読みました。今や、フィンランドといえば、OECDの国際的な学習到達度調査(PISA)で、世界1位の国ということは大勢の人が知るところです。なぜ、フィンランドがこうした実績をあげるようになったのか、興味や関心をもつ人もいらっしゃるでしょう。フィンランドは、1990年初旬、失業率が20%にまで上る不況に襲われ、これを克服するためには、改革を担う人材への投資を考え、国民全体の教育水準を高めることを必須としました。子どもが生まれると、国費から哺乳瓶から洋服や絵本にいたるまで、必要なものはほとんど提供されます。また、どこで保育するかにかかわらず、すべての子どもをもつ家庭に子どもが17歳になるまで毎月一定の養育手当てが支給され、受けたい教育を選択できるしくみが整っています。この本は、著者の実体験をもとに、フィンランドの教育に関する考え方や取り組みをわかりやすく教えてくれています。
 また一方で、日本で「中学校夜間学級(夜間中学)」の活動をしてきた高野雅夫さんの話を聞く機会がありました。高野さんは、6歳のとき、敗戦で旧満州からの帰国途中に母親とはぐれ、戦争孤児になりました。その後、学校に行くことができず、21歳のとき、東京・荒川第九中学の夜間学級に入学、24歳で卒業しました。「武器になる文字とコトバを」を合言葉に夜間中学の増設を訴えてきました。現在、夜間中学は廃止の方向にありますが、文字やコトバを持たない若者が増えてきている現状に危機感を持っていることなどが報告されました。日本の教育格差の問題、増え続ける不登校やニートなどの教育問題は山積みです。何のための、だれのための教育なのか、考え直すべきときではないでしょうか。同時に、憲法で保障されている教育の権利、これはすべての人に与えられているものだということを再確認すべきだと実感します。
 フィンランドも学歴社会ですが、日本の学歴社会とは意味合いが違い、出身校や偏差値で判断されるものではなく、どこで何を学びどのような専門性を持っていかで評価されるというものです。また、受験戦争といった競争は学校や家庭にはなく、回り道をしても、いくらでもやり直しがきく社会や環境があるというところは大きな違いです。「子ども支援」、私たちにできることは何なのかをしっかり見極めていきたいと思います。